はじめに
「英検準1級は単語が壁」とよく言われます。2級までと比べて、語彙問題の選択肢も長文の話題も一気に抽象的・専門的になり、知らない単語が多いと、読むのも聞くのも書くのも苦しくなります。
なお、日本英語検定協会(以下、英検協会)は各級に必要な語彙数を公表していません。「準1級は○千語」といった数字はあくまで市販教材などの目安で、本記事では語数を断定せず、どの単語帳を・どう回し・どこまで仕上げれば準1級の語彙に対応できるかという方法に絞って解説します。
英検準1級では単語がどこで問われる?
結論:語彙力は大問1の語彙問題だけでなく、長文・リスニング・ライティング・面接のすべてに直結します。 準1級一次試験の構成(英検協会公表)と語彙の関係は次のとおりです。
| 技能 | 問題 | 問題数 | 語彙との関係 |
|---|---|---|---|
| リーディング | 短文の語句空所補充(大問1) | 18問 | 単語・熟語の知識がそのまま得点になる |
| リーディング | 長文の語句空所補充・内容一致選択 | 6問+7問 | 知らない語が多いと文意を追えない |
| ライティング | 英文要約・英作文 | 2題 | 「語彙」が採点観点の1つ。言い換えに語彙が必要 |
| リスニング | 会話・文・Real-Life形式 | 29問 | 音で知らない語は聞き取れない |
大問1は2024年度のリニューアルで7問減って18問になりましたが、語彙の重要性が下がったわけではありません。長文やライティングで求められる語彙の水準は変わらないからです。
また、英検のスコア(CSE)はリーディング・リスニング・ライティングの各技能に均等に配分され、準1級は各750点満点、一次試験の合格基準は1792点です。英検協会は参考として、2016年度第1回一次試験では、1級・準1級は各技能で正答率7割程度の受験者の多くが合格したと紹介しています。語彙はすべての技能の土台なので、ここが固まると全体のスコアが底上げされます。
準1級の単語はいつから・1日どれくらい勉強する?
結論:試験の3か月前には単語帳に着手し、1日30〜40分を毎日続けるのが一つの目安です。 語彙は短期間で詰め込むより、毎日少しずつ何度も触れる方が定着します。
| 期間 | 1日の時間 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜4週目 | 30〜40分 | 単語帳の見出し語を1周。意味が出ない語に印をつける |
| 5〜8週目 | 30〜40分 | 印の語を重点的に2周目・3周目。例文と音声で確認 |
| 9〜12週目 | 30〜40分 | 派生語・類義語・句動詞まで広げる。過去問で出た語を追加 |
上の表は計画の一例です。準1級の受験を決めた時点で2級レベルの単語に不安がある場合は、まず2級の単語を固めてから準1級の単語帳に進む方が、結果として早く仕上がります。
単語帳は1冊に絞って仕上げる
結論:単語帳は1冊に決め、その1冊を正確に答えられるまで何周も回すことが大切です。 何冊も手を出すと、どの本も中途半端になり、「見たことはあるけれど意味が出ない」単語が増えてしまいます。
「仕上がった」の基準
1冊を回すときは、次の基準を満たすまで続けます。
- 英単語を見て1秒以内に意味が言える
- 発音でき、音声を聞いて意味がわかる
- 例文の中で意味をとれる
- 主な派生語(名詞・形容詞・動詞の形)がわかる
回し方の手順
- 1周目:1日100語程度のペースで見出し語を確認し、意味が出ない語に印をつける
- 2周目以降:印のついた語だけを重点的に回す。覚えた語は印を消す
- 毎回音声を使う:目で見るだけでなく、発音して耳でも確認する
- テスト形式で確認:赤シートなどで意味を隠し、「思い出す」練習をする
- 印がなくなるまで:周回数を決めず、印が残らなくなるまで繰り返す
大切なのは、新しい単語帳に移るのではなく、同じ1冊の「わからない」を残さないことです。過去問や問題集で知らない単語に出会ったら、その単語を使っている単語帳に書き込み、教材を1冊に集約しましょう。
優先順位は「見出し語→派生語・類義語→句動詞」
結論:全部を均等に覚えようとせず、3つの層に分けて順番に広げます。
- A層(最優先):単語帳の見出し語
- B層:派生語・類義語・対義語
- C層:句動詞・イディオム
A層がある程度固まってからB層・C層に広げると、覚えた単語同士がつながり、忘れにくくなります。
派生語を一緒に覚える
1つの単語を覚えるときに、品詞の違う形もまとめて確認します。
| 基本語 | 派生語の例 |
|---|---|
| economy(経済) | economic(経済の)/economical(節約になる)/economist(経済学者) |
| sustain(維持する) | sustainable(持続可能な)/sustainability(持続可能性) |
| emerge(現れる) | emergence(出現)/emerging(新興の) |
類義語の引き出しを増やす
ライティングでは同じ語の繰り返しを避けることが「語彙」の観点につながり、要約では原文の言い換えが欠かせません。
- 増える:increase / rise / grow / surge / soar
- 重要な:important / crucial / essential / vital / significant
- 減らす:reduce / decrease / cut down on / lower
- 引き起こす:cause / lead to / result in / bring about
句動詞・イディオムを音で覚える
句動詞はリスニングでも読解でも頻繁に出てきます。基本動詞+前置詞・副詞の組み合わせは、意味と音をセットで覚えるのがコツです。
- bring about / carry out / come up with / put off / look into
- take over / make up for / call off / get rid of / run out of
- account for / break down / set up / turn out / figure out
大問1(語彙問題)で得点するコツ
結論:大問1は「知っているかどうか」で決まる問題が多いため、時間をかけずに解き、長文とライティングに時間を回します。
- 空所の前後から品詞と語のつながり(コロケーション)を判断する
- 迷ったら、明らかに文脈に合わない選択肢から消す
- 1問に時間をかけすぎない(知らない語は考えても出てこないことが多い)
- 解き終わったら、選択肢の知らない語もすべて単語帳に書き込む
過去問の大問1は、正解の語だけでなく不正解の選択肢も準1級レベルの語彙です。4つの選択肢すべての意味を言えるようにすることで、過去問1回分が良質な語彙リストになります。
アウトプットで単語を定着させる
結論:覚えた単語をライティングや面接の練習で「使う」と、記憶が定着しやすくなります。
- 要約の練習で、原文の単語を覚えた類義語で言い換える
- 意見論述で、テーマ別の語彙(環境なら renewable energy / carbon emissions など)を実際に使う
- 面接のナレーション練習で、描写に使う動詞(notice / suggest / complain など)を声に出す
準1級ライティングの具体的な書き方は英検準1級ライティングの書き方で解説しています。
復習のタイミングと隙間時間の使い方
一度覚えた単語も、時間が経つほど思い出しにくくなります。だからこそ、覚えた直後より、翌日・1週間後に思い出すことが大切です。
- 当日:新しく覚える
- 翌日:5分で確認
- 1週間後:5分で確認
- 1か月後:テスト形式で総点検
通学時間の音声(10〜15分)、寝る前の確認(5分)、起床後の前日分の復習(5分)など、隙間時間を組み合わせると1日30〜40分を確保しやすくなります。
よくある失敗と対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 単語帳を何冊も買って、どれも途中で終わる | 1冊に絞り、印がなくなるまで回す |
| 目で見るだけで、音声を使わない | 毎回発音し、音声で意味がわかるか確認する |
| 1周に時間をかけすぎて、復習が回らない | 1日のページ数を決め、仕上げを目指すのは2周目以降にする |
| 意味だけ覚えて派生語を知らない | 見出し語と一緒に品詞違いの形を確認する |
| 単語は覚えたのに長文が読めない | 文法・構文の理解も並行して固める |
最後の点は特に大切です。準1級の長文は一文が長く、関係詞・分詞構文・倒置などが複雑に組み合わさります。単語と文法は車の両輪で、どちらかが欠けると読めません。単語と文法を同時に固める方法は英検の単語と文法の勉強法も参考にしてください。
準1級の単語帳の選び方
結論:「頻出順」「音声付き」「例文・派生語付き」の3つがそろった、準1級用の単語帳を1冊選びます。 具体的な書名よりも、次の条件で選ぶことが大切です。
- 英検準1級向けで、頻出度順に並んでいる
- 音声がダウンロードまたはアプリで聞ける
- 例文と派生語・類義語が載っている
- 自分が毎日持ち歩いて開ける大きさ・レイアウトである
まとめ
- 英検協会は必要語彙数を公表していない。語数より「1冊を仕上げる」が基準
- 語彙は大問1(18問)だけでなく、長文・リスニング・ライティング・面接すべての土台
- 単語帳は1冊に絞り、印がなくなるまで回す。知らない語はその1冊に書き込む
- 優先順位は見出し語→派生語・類義語→句動詞
- 音声・例文・アウトプットで定着させ、翌日・1週間後に復習する
- 単語と並行して文法・構文も固める
英検専科の指導について
英検専科は、英検に特化した完全1対1の個別指導塾です。英語の授業は、代表・長延映寛(代表・英語科主任)が設計した指導法のもとで、代表が育成した講師が担当します。代表による直接指導は指名オプション(1回あたり+2,200円・税込)でご利用いただけます。英検対策の講師陣は、英検1級をはじめ、英検準1級・TOEIC850点以上などの高難度の英語資格を持つ講師で構成しています。準1級の語彙指導では、使う単語帳を1冊に絞り、長文を読むための文法・構文も「なぜそう読めるのか」まで説明します。
授業外の質問・添削は、学習アプリ English LABO の AI 機能で受けられ、LINE・メールでも受け付けています(回数無制限・無料)。実績は、受講開始から3ヶ月以内に次の級を受験した受講生の合格率 95%超(受講開始から3ヶ月以内に受験した回で最終合格した人の割合。3級以上は同じ回の二次試験まで合格、4級・5級は一次試験の合格。開校以来の全受講生が対象・当教室調べ)です。合格を保証するものではありません。代表は、生徒2,000名超・講師200名以上が在籍する大手個別指導塾で、年間MVP・月間MVP・成績アップMVPを複数回連続で受賞しています。準1級の指導内容は英検準1級対策ページでも紹介しています。