はじめに
私立大学の一般選抜の英語では、長い英文を読んで設問に答える長文読解の比重が大きい大学もあります。「単語は覚えたのに長文になると時間が足りない」「読めたつもりなのに内容一致で間違える」という相談を受けることもあります。
ただし、私大の英語は大学・学部ごとに問題の形式が大きく異なります。この記事では、どの大学を受ける場合にも使える長文読解の基本と、志望校に合わせた対策の立て方を整理します。
- 志望校の過去問から何を分析すればよいか
- 精読とパラグラフリーディングをどう組み合わせるか
- 設問パターン別の解き方
- 時間配分と、過去問を使い切る復習の方法
- 英検準1級の学習が私大長文にどうつながるか
私大の英語長文ではどんな問題が出る?
結論:出題形式は大学・学部によって違うため、最初に志望校の過去問で「形式・分量・時間」を確認することが対策の出発点です。
出題される設問形式の例
| 設問形式 | 問われる力 |
|---|---|
| 内容一致(本文の内容に合うものを選ぶ) | 本文の要点と言い換えを見抜く力 |
| 空所補充(語句・接続語を補う) | 語彙力と、前後の論理関係をつかむ力 |
| 下線部の意味・言い換え | 文脈から語句の意味を判断する力 |
| 文整序・段落整序 | 指示語や論理マーカーから文の流れを組み立てる力 |
| 主旨・表題の選択 | 文章全体の主張をつかむ力 |
| 英文和訳・内容説明(記述) | 文構造を正確に分析し、日本語で表現する力 |
過去問分析シート
志望校の過去問を1年分用意し、次の項目を書き出してみましょう。これだけで、何を優先して対策すべきかが見えてきます。
| 分析項目 | 書き出す内容の例 |
|---|---|
| 試験時間 | 例:60分、90分 |
| 大問構成 | 長文が何題か、文法・会話文・英作文の大問があるか |
| 長文の分量 | 1題あたりのおおよその長さ(行数やページ数でよい) |
| 設問形式 | 内容一致・空所補充・整序・記述のどれが多いか |
| 題材 | 科学・社会・文化・物語など、どの分野が多いか |
| 自分の得点 | 大問ごとの得点と、かかった時間 |
配点や大問構成が公表されている大学もあります。募集要項や大学の入試情報もあわせて確認してください。
長文を時間内に読み切るには?精読とパラグラフリーディング
結論:まず1文1文を正確に読む「精読力」をつけ、そのうえで段落ごとの要点をつかむ「パラグラフリーディング」で速さを上げる、という順番が大切です。
パラグラフリーディングは「段落の要点をつかみながら読む」方法です。しかし、1文を正確に読めない状態で飛ばし読みをしても、設問の根拠となる部分で誤読してしまいます。速く読む力は、正確に読む力の上に成り立ちます。
精読力をつける:文構造を分解する
次の英文は、この記事のために作成した例文です(自作)。
What surprised the researchers most was that the students who slept longer remembered more words.
この文は長く見えますが、構造は次のように分けられます。
- 主語:What surprised the researchers most(研究者たちを最も驚かせたこと)
- 動詞:was
- 補語:that the students who slept longer remembered more words(長く眠った学生の方が多くの単語を覚えていたということ)
「研究者たちを最も驚かせたのは、長く眠った学生の方が多くの単語を覚えていたということだった」という意味になります。長文で意味が取れない文があったら、このように主語・動詞を見つけて分解し、なぜその意味になるのかを説明できる状態にしておきます。分からない文を分からないまま残さないことが、長文の得点を安定させる土台になります。
パラグラフリーディングの手順
説明文や論説文では、段落の最初の1〜2文にその段落の要点が書かれていることがあります。
- 各段落の最初の1〜2文を丁寧に読み、要点をつかむ
- 段落の中の例や補足は、論理マーカーに注意しながら速めに読む
- 段落を読み終えたら、要点を余白に一言でメモする(例:「問題提起」「反対意見」「具体例:日本」)
- 設問に答えるときは、メモを手がかりに該当する段落に戻って根拠を探す
段落ごとのメモがあると、「どの段落に何が書いてあったか」がすぐ分かるので、設問の根拠を探す時間を短くしやすくなります。
論理マーカーで文章の流れをつかむ
結論:文と文の関係を示す語に注目すると、筆者の主張と具体例を区別しやすくなります。
| 働き | 代表的な語句 | 読むときのポイント |
|---|---|---|
| 逆接・譲歩 | however, but, yet, although, nevertheless | 後ろに筆者の主張が来やすい |
| 追加 | moreover, furthermore, in addition, also | 前と同じ方向の内容が続く |
| 原因・結果 | because, since, therefore, as a result | 因果関係は設問で問われやすい |
| 例示 | for example, for instance, such as | 具体例。主張を確認できれば速く読んでよい |
| 対比 | on the other hand, in contrast, while | 二つの立場や物事の違いを整理する |
| 結論 | in short, in conclusion, overall | 文章全体の主張がまとめられやすい |
特に、「一般的には〜と考えられている。しかし〜」という流れは、筆者の主張を示すパターンの一つです。空所補充でも、前後が逆の内容なら however、同じ方向なら moreover のように、論理関係から答えを絞り込めます。
設問パターン別の解き方
パターン1:内容一致問題
- 先に設問と選択肢のキーワードを確認し、本文のどこに対応するかを探す
- 正解の選択肢は本文を言い換えている場合がある
- 本文と同じ単語を使っていても、主語や因果関係が入れ替わっている選択肢は誤り
- always, never, only など、本文より範囲を広げた表現は慎重に確認する
パターン2:空所補充問題
空所の前後の文の関係を確認してから選択肢を見ます。次は自作の例題です。
Many people believe that reading on paper is better for understanding. ( ), some studies show that the difference becomes smaller when readers are used to screens.
1. Therefore 2. However 3. For example 4. In addition
前の文は「紙の方が理解に良いと多くの人が考えている」、後ろの文は「画面に慣れていれば差は小さくなるという研究もある」で、内容が逆の方向なので、正解は 2. However です。選択肢を先に当てはめるのではなく、前後の関係を自分で判断してから選ぶと、迷いが減ります。
パターン3:下線部の意味・言い換え
- 下線部の単語の辞書的な意味だけでなく、その文脈での意味を考える
- 下線部を選択肢に置き換えて、前後の文と意味がつながるか確認する
パターン4:文整序・段落整序
- this, these, such, the other などの指示語が何を指すかを考える
- however や therefore などの論理マーカーから、前にどんな内容が来るかを推測する
- 「一般論→具体例→結論」など、文章の典型的な流れを手がかりにする
パターン5:主旨・表題の選択
- 段落ごとのメモをつなげて、文章全体で筆者が言いたいことを一言でまとめる
- 一部の段落にしか当てはまらない選択肢や、本文より大きすぎる内容の選択肢は外す
パターン6:英文和訳・内容説明
- 主語と動詞を最初に特定し、修飾関係を正確に取る
- 指示語が指す内容を明らかにして訳す
- 直訳で意味が通らない部分は、意味を変えずに自然な日本語に整える
時間配分はどう考える?
結論:過去問を実際に時間を計って解き、大問ごとにかかった時間を記録してから、自分用の配分を決めます。
試験時間や大問構成は大学ごとに違うため、全員に当てはまる配分はありません。次は長文2題と文法などの大問がある60分の試験を想定した一例です。
| 大問 | 目安時間 |
|---|---|
| 文法・語彙などの短い大問 | 10分 |
| 長文1題目 | 20分 |
| 長文2題目 | 25分 |
| 見直し・マーク確認 | 5分 |
時間配分のコツ
- 文法・語彙など短時間で解ける大問を先に片付け、長文に時間を残す方法もある
- 長文では、設問を先に確認してから本文を読むと、読むべきポイントが分かる
- 1問に迷い続けず、仮の答えを書いて次へ進み、最後に戻る
過去問を使い切る復習の方法
結論:過去問は解いて丸つけをして終わりにせず、全文を読めるようになるまで復習することで力につながります。
1回分の過去問の復習手順
- 時間を計って解く(大問ごとにかかった時間も記録)
- 採点し、間違えた問題は本文中の根拠の行に線を引く
- 正解した問題も、根拠を説明できるか確認する(勘で当たった問題を残さない)
- 知らなかった単語はメインの単語帳で確認し、載っていなければ余白に書き込む
- 意味が取れなかった文は文構造を分解して、分からない部分を残さない
- 本文を音読する(意味を理解しながら、前から順に読めるようになるまで)
- 1〜2週間後に同じ問題を解き直す
英検専科では、問題集や過去問を次々と新しく解くより、1題1題を根拠まで説明できるようになるまで使い切る学習をすすめています。1つの長文を何度も音読することで、英文を前から理解する感覚を身につけやすくなります。
時期別の長文対策の計画
| 時期 | 主な取り組み |
|---|---|
| 高3の春まで | 単語帳1冊と文法を固める。短めの英文で精読と音読 |
| 高3の夏 | 入試標準レベルの長文でパラグラフリーディングを練習。志望校の過去問を1年分分析 |
| 9〜11月 | 志望校・併願校の過去問を時間を計って解き、復習手順どおりに使い切る |
| 12月〜本番 | 過去問の解き直しと音読で仕上げ。共通テスト対策と並行する |
共通テストを併用する場合は、共通テスト英語リーディングの時間配分と速読戦略もあわせてご覧ください。
英検準1級の学習は私大長文に役立つ?
結論:役立ちます。英検準1級のリーディングには、長文の語句空所補充や内容一致選択があり、私大入試の長文でも出題される形式と共通点があります。
日本英語検定協会の公式サイトによると、英検準1級のリーディングは、短文の語句空所補充18問、長文の語句空所補充6問、長文の内容一致選択7問で構成されています。準1級レベルの語彙と長文に取り組むことは、難関私大の長文を読むための語彙力・読解力の土台になります。詳しくは英検準1級のページをご覧ください。
また、私大の入試では、英検などの資格・検定試験のスコアを出願資格や得点換算などに利用する方式を設けている大学もあります。利用の有無や条件は大学・学部ごとに違うので、募集要項で確認しましょう。
長文読解の土台となる単語帳の選び方と使い方は、大学受験英単語帳の選び方で詳しく解説しています。
つまずきやすい点と対策
- 全文を同じ速さで精読して時間切れ:段落の要点をつかみ、例や補足は速めに読む
- 精読力がないまま飛ばし読み:まずは文構造を分解する練習で正確に読む力をつける
- 設問を読まずに本文を読み始める:先に設問のキーワードを確認する
- 言い換えに気づかない:正解の選択肢と本文の対応箇所を、復習のときに線で結ぶ
- 過去問を1回解いて終わり:根拠確認・単語・文構造・音読・解き直しまで行う
- 問題集を次々に買い足す:手元の過去問と長文問題集を使い切ってから次へ進む
まとめ
- 私大の英語長文は大学・学部ごとに形式が違う。まず過去問分析シートで形式・分量・時間を確認する
- 精読力が土台。そのうえでパラグラフリーディングを使って速さを上げる
- 論理マーカーに注目し、筆者の主張と具体例を区別する
- 内容一致は言い換え、空所補充は前後の論理関係、整序は指示語と論理マーカーがカギ
- 過去問は根拠・単語・文構造・音読・解き直しまで使い切る
- 英検準1級の学習は、難関私大の長文に必要な語彙力・読解力の土台になる
英検専科の指導について
英検専科は、英検に特化した完全1対1の個別指導塾です。英語の授業は、代表・長延映寛(代表・英語科主任)が設計した指導法のもとで、代表が育成した講師が担当します。代表による直接指導は指名オプション(1回あたり+2,200円・税込)でご利用いただけます。英検対策の講師陣は、英検1級をはじめ、英検準1級・TOEIC850点以上などの高難度の英語資格を持つ講師で構成しています。長文読解では英文の構造を「なぜそう読めるのか」まで説明します。
授業外の質問・添削は、学習アプリ English LABO の AI 機能で受けられ、LINE・メールでも受け付けています(回数無制限・無料)。実績は、受講開始から3ヶ月以内に次の級を受験した受講生の合格率 95%超(受講開始から3ヶ月以内に受験した回で最終合格した人の割合。3級以上は同じ回の二次試験まで合格、4級・5級は一次試験の合格。開校以来の全受講生が対象・当教室調べ)です。合格を保証するものではありません。代表は、生徒2,000名超・講師200名以上が在籍する大手個別指導塾で、年間MVP・月間MVP・成績アップMVPを複数回連続で受賞しています。級ごとの対策内容は級別の英検対策をご覧ください。