はじめに
「どの単語帳を使えばいいか分からない」「何冊か買ったけれど、どれも途中で止まっている」。大学受験生から、こうした相談を受けることがあります。
書店には大学受験用の英単語帳がたくさん並んでいますが、単語力を伸ばすうえで大切なのは、どの1冊を選ぶかよりも、選んだ1冊を最後まで使い切れるかです。この記事では、次のことを順番に整理します。
- 単語帳は何冊必要か、なぜ1冊に絞るべきなのか
- 志望校レベル別の選び方と、書店で確認するチェックポイント
- 単語帳のタイプ別の特徴と、併用してよいケース
- 1冊を仕上げるための周回の手順と時期別の計画
- 英検の単語学習と大学受験の単語帳の関係
※この記事では特定の商品名は挙げず、選ぶときの基準を解説します。
大学受験の英単語帳は何冊必要?
結論:英検専科では、メインの単語帳を1冊に絞ることをすすめています。何冊も手を出さず、1冊を「どのページのどの単語を聞かれても即答できる」状態まで仕上げましょう。
単語帳を何冊も買ってしまう背景には、「今の単語帳では足りないのでは」という不安があることもあります。しかし、基本的な単語は、単語帳が違っても重なって収録されている部分があります。1冊目を仕上げる前に2冊目に移ると、共通する基本語を何度も「最初から」覚え直すことになり、時間の割に定着しません。
1冊に絞るメリット
| 1冊を繰り返す場合 | 何冊も1周ずつ進める場合 |
|---|---|
| 同じ単語に何度も出会うので、記憶が定着しやすい | 1冊あたりの復習回数が少なく、忘れやすい |
| 「どこまで覚えたか」がはっきり分かる | どの本のどこまで覚えたか分からなくなる |
| 覚えていない単語だけに集中できる | 覚えた単語もまた最初から見直すことになる |
| 例文やページの位置まで記憶の手がかりになる | 本ごとにレイアウトが違い、手がかりが分散する |
英単語は、一度覚えても時間がたつと忘れてしまいます。大切なのは、忘れかけたころにもう一度出会う回数を増やすことです。英検専科では、そのために教材を増やすより、同じ1冊を何度も回す進め方をすすめています。
志望校レベル別の単語帳の選び方
結論:まず「共通テストレベルを仕上げる1冊」を選び、それを仕上げたうえで、難関大を目指す場合に上級レベルを検討します。
大学入試センターの問題作成方針では、共通テストの英語はCEFRのおおむねA1〜B1レベルを目安に作成するとされています。日本英語検定協会の資料では、英検2級で算出できるCEFRはA2〜B1、準1級はB1〜B2です。これを参考にすると、目標別の考え方は次のようになります。
| 目標 | 単語帳の目安 | 英検との関係(参考) | 優先すること |
|---|---|---|---|
| 共通テストで基礎を固めたい | 高校必修〜入試基本レベル | 準2級〜2級の語彙が土台 | 基本語を1語1秒で言えるまで仕上げる |
| 共通テスト高得点・中堅大 | 入試標準レベル(例文・フレーズつき) | 2級の語彙を固める | 多義語・熟語・派生語まで |
| 難関国公立・難関私大 | 入試標準〜上級レベル | 準1級の語彙が役立つ場面が増える | 抽象的な語、言い換え表現 |
| 最難関大・英語重視の学部 | 上級レベルや長文型を追加 | 準1級〜1級の語彙 | 長文中での語の意味の判断 |
収録語数だけで選ばない
単語帳の収録語数は、派生語や熟語を1語と数えるかどうかなど、本によって数え方が違います。数字の大きさで比べるのではなく、自分の目標に必要な単語が、使える形で載っているかで選びましょう。
学校で配られた単語帳がある場合
学校で単語帳が配られていて、小テストもそれに合わせて行われているなら、まずはその単語帳を使い切るのが第一候補です。小テストが復習の機会になり、周回の仕組みを自分で作らなくて済むからです。
書店で確認する7つのチェックポイント
結論:実際に中身を開き、「続けられるか」「使える形で覚えられるか」を確認して選びます。
- 音声がついているか:発音を知らない単語はリスニングで聞き取れません。音声の有無と聞き方(ダウンロード・アプリなど)を確認します
- 例文やフレーズが載っているか:単語が使われる形を一緒に覚えると、長文や英作文で使いやすくなります
- 今の自分に合った難しさか:適当なページを開き、知っている単語が多すぎず少なすぎないかを確認します
- 1ページの情報量が多すぎないか:情報が多すぎると、1周するまでに挫折しやすくなります
- 派生語・反意語が整理されているか:1語から関連語をまとめて覚えられます
- 自分でテストしやすい作りか:赤シートで隠せる、番号がついているなど、確認テストがしやすいかを見ます
- 持ち歩けるか・見やすいか:毎日開くものなので、サイズやレイアウトが自分に合うことも大切です
単語帳のタイプ別の特徴
結論:タイプに優劣はありません。目的と学習スタイルに合わせて選び、決めたら1冊を使い切ることが大切です。
| タイプ | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 単語リスト型 | 見出し語と意味が中心で、短時間で多くの単語を確認できる | 通学時間などのすき間時間に回したい人 | 使い方の確認に例文も読む |
| フレーズ・例文型 | 単語を短いフレーズや例文の中で覚える | 英作文や読解に使える形で覚えたい人 | 1周に時間がかかりやすい |
| 長文型 | 英文を読みながら、その中の単語を覚える | 読解力と単語力を同時に伸ばしたい人 | 基本語がある程度入っていることが前提 |
| テーマ別 | 環境・医療など分野ごとに単語を整理 | 志望学部の分野の語彙を補強したい人 | メインの単語帳が仕上がってから |
単語帳の併用はアリ?
結論:同じレベル・同じ役割の単語帳の併用は避けます。役割がはっきり違うものを、メインが仕上がってから追加するのは構いません。
併用してよいケース
- 単語帳とは別に、熟語(イディオム)を専門に扱う1冊を使う
- メインを仕上げたうえで、志望校の過去問に合わせて上級レベルやテーマ別を追加する
- 英検準1級を受験する場合に、準1級向けの単語帳を使う(難関大の語彙とも重なる部分があります)
避けたいケース
- 同じレベルの単語帳を2〜3冊同時に進める
- 1冊目が半分も終わらないうちに「もっと良さそうな本」に乗り換える
- 友達が使っているからという理由で途中で変える
1冊を仕上げる周回の手順
結論:「覚えた」の基準をはっきり決め、覚えていない単語だけを繰り返し回して、最後は全単語を即答できる状態にします。
「覚えた」の基準
- 英単語を見て、1秒以内に日本語の意味が言える
- 発音が分かる(音声を聞いて意味が分かる)
- 主な品詞が分かり、例文の中で意味が取れる
周回ごとの進め方(目安)
| 周回 | 目的 | やり方 |
|---|---|---|
| 1周目 | 全体を一度見る | 1日の範囲を決めて進め、知らない単語に印をつける。1周目から全部覚えようとしない |
| 2周目 | 印の単語を覚える | 印のついた単語を中心に、音声を聞きながら例文も読む |
| 3周目 | 覚えたか確認する | 赤シートなどで自分でテストし、言えなかった単語にだけ印を追加 |
| 4周目以降 | 取りこぼしを残さない | 印が残っている単語だけを集中的に回す |
| 仕上げ | ランダムに確認 | 順番を変えてテストし、どこを聞かれても即答できるか確認する |
1日に進める量は、学年や残りの期間によって変わります。大切なのは「1日の新しい範囲」と「前の日までの復習」をセットで行うことです。新しい範囲だけ進めて復習をしないと、1周終わるころには最初の方を忘れてしまいます。
1日のルーティン例
- 朝(10分):前日に覚えた範囲をテストする
- 通学中(15分):今日の新しい範囲を、音声を聞きながら確認する
- 夜(15分):今日の範囲をテストし、言えなかった単語に印をつける
例文の使い方
次の例は、この記事のために作成した例文です(自作)。
The new rule will affect students who study abroad.(その新しい規則は留学する学生に影響を与えるだろう。)
affect(影響を与える)と effect(影響・効果)は形が似ていて混同しやすい単語です。例文の中で「動詞として使われている」ことを確認して覚えると、長文でも品詞から意味を判断しやすくなります。このように、似た単語は例文と品詞をセットで確認するのがおすすめです。
単語帳の単語を長文やリスニングにつなげるには?
結論:過去問や長文で出会った単語を、単語帳で確認し直すことで、覚えた単語が「使える単語」になります。
- 長文や過去問で分からなかった単語を書き出す
- その単語が単語帳に載っているか確認し、載っていれば印をつけて重点的に復習する
- 載っていなければ、単語帳の余白に書き込む(別のノートを増やさない)
- 単語帳の音声を聞き、リスニングでも分かるようにする
新しい単語ノートを作らず、メインの単語帳に情報を集めると、復習の場所が1か所にまとまり、管理しやすくなります。
英検の単語学習は大学受験に役立つ?
結論:役立ちます。英検の級に合わせて単語を覚えることは、大学受験の語彙の土台づくりになります。
英検2級・準1級のリーディングは、どちらも短文の語句空所補充問題から始まり、単語の知識が直接問われます。英検準1級の単語は難しく感じられますが、難関大の長文で出会う抽象的な語とも重なる部分があります。準1級の単語の覚え方は英検準1級の単語対策、単語と文法の学習法は英検の単語・文法の勉強法で詳しく紹介しています。
また、大学入試では英検などの資格・検定試験を、出願資格、得点換算、加点などの形で利用する大学があります(日本英語検定協会の活用校検索サイトで調べられます)。英検の級取得を目標に単語を覚えることが、入試での選択肢を広げることにつながる場合もあります。利用の有無や条件は大学・学部ごとに異なるため、志望校の募集要項で確認してください。準1級については英検準1級のページもご覧ください。
時期別の単語学習の計画
| 時期 | 目標 |
|---|---|
| 高1・高2 | 学校の単語帳、または入試基本レベルの1冊を1周以上。英検準2級〜2級の受験も目標に |
| 高3の春 | メインの単語帳を仕上げの段階に。印の残っている単語を減らしていく |
| 高3の夏 | メインをランダムテストで確認。仕上がっていれば、志望校に合わせて上級レベルを検討 |
| 高3の秋以降 | 新しい単語帳は増やさず、メインの復習と過去問で出た単語の確認に集中 |
よくある質問
何周すれば覚えられますか?
周回の回数より、「全単語を即答できるか」で判断してください。覚えやすい単語は2〜3周で定着し、覚えにくい単語は何周しても忘れることがあります。印の残っている単語がなくなるまで回すのが目安です。
すぐ忘れてしまいます。自分に向いていないのでしょうか?
忘れるのは自然なことで、向き不向きの問題ではありません。忘れた単語にもう一度出会う回数を増やせば、少しずつ定着していきます。1日の中で朝と夜の2回確認するなど、短い間隔で復習する仕組みを作りましょう。
アプリだけで覚えてもいいですか?
単語帳についている音声やアプリを活用するのもよい方法です。ただし、紙の単語帳とアプリで別々の単語を覚えると管理が分散します。どちらを使う場合も、覚える単語のリストは1つに絞るのがおすすめです。
まとめ
- メインの単語帳は1冊に絞る。何冊も手を出さず、1冊を使い切る
- 志望校レベルと今の実力に合わせ、音声・例文・続けやすさで選ぶ
- 収録語数の数字だけで比べない。学校配布の単語帳があれば、まずそれを使い切る
- 併用は役割が違うものに限り、メインが仕上がってから
- 「覚えた」の基準を決め、印の残った単語がなくなるまで周回する
- 英検の級に合わせた単語学習は、大学受験の語彙の土台になる
英検専科の指導について
英検専科は、英検に特化した完全1対1の個別指導塾です。英語の授業は、代表・長延映寛(代表・英語科主任)が設計した指導法のもとで、代表が育成した講師が担当します。代表による直接指導は指名オプション(1回あたり+2,200円・税込)でご利用いただけます。英検対策の講師陣は、英検1級をはじめ、英検準1級・TOEIC850点以上などの高難度の英語資格を持つ講師で構成しています。単語学習では使う単語帳を1冊に絞り、「覚えたつもり」を残さないよう一緒に確認しながら進めます。
授業外の質問・添削は、学習アプリ English LABO の AI 機能で受けられ、LINE・メールでも受け付けています(回数無制限・無料)。実績は、受講開始から3ヶ月以内に次の級を受験した受講生の合格率 95%超(受講開始から3ヶ月以内に受験した回で最終合格した人の割合。3級以上は同じ回の二次試験まで合格、4級・5級は一次試験の合格。開校以来の全受講生が対象・当教室調べ)です。合格を保証するものではありません。代表は、生徒2,000名超・講師200名以上が在籍する大手個別指導塾で、年間MVP・月間MVP・成績アップMVPを複数回連続で受賞しています。級ごとの対策内容は級別の英検対策をご覧ください。