はじめに
英検の成績表を受け取って「何問正解すれば合格だったのか分からない」と感じたことはありませんか。現在の英検は、正答数そのものではなく英検CSEスコアという共通尺度のスコアで合否を判定しています。
この記事では、日本英語検定協会の公式サイトに掲載されている情報だけをもとに、次の4点を整理します。
- 各級の合格基準スコア(合格点)
- 技能別の満点と配点の考え方
- 正答数とスコアが1対1にならない理由
- 英検バンド・CEFRレベルを含めた成績表の見方と使い方
英検CSEスコアとは
英検CSEスコアとは、ユニバーサルなスコア尺度であるCSE(Common Scale for English)を英検の各級で表記したものです。公式サイトでは、特長として次の3つが挙げられています。
- どの級でも共通のスコア表示なので、今の英語力や伸びが分かる
- 英検CSEスコアで合否判定を行うため、合格までの距離が分かる
- 国際標準規格のCEFRに対応しているので、実力を世界基準で把握できる
成績表には5級から1級まで、すべての級で合否に加えて英検CSEスコアが表示されます。3級〜1級はリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能それぞれのスコアとトータルスコア、4級・5級はリーディング・リスニングとスピーキングテストの3技能のスコアが表示されます。
各級の合格基準スコア一覧
公式サイトでは「各級の合格基準スコア(英検CSEスコア)は変動しません」と明記されています。つまり、回によって合格点が上下することはなく、毎回同じスコアが合格ラインです。
| 級 | 一次試験の合格基準スコア | 一次の測定技能 | 二次試験の合格基準スコア |
|---|---|---|---|
| 1級 | 2028 | R・L・W | 602 |
| 準1級 | 1792 | R・L・W | 512 |
| 2級 | 1520 | R・L・W | 460 |
| 準2級プラス | 1402 | R・L・W | 427 |
| 準2級 | 1322 | R・L・W | 406 |
| 3級 | 1103 | R・L・W | 353 |
| 4級 | 622 | R・L | (二次試験なし) |
| 5級 | 419 | R・L | (二次試験なし) |
※R=リーディング、L=リスニング、W=ライティング。二次試験の測定技能はスピーキングのみです。
一次試験と二次試験の判定方法
公式の説明では、一次試験はリーディング・リスニング・ライティングの3技能(4級・5級はリーディングとリスニングの2技能)の技能別スコアの合算で合否を判定します。二次試験はスピーキングのスコアのみで判定します。
4級・5級のスピーキングテストの扱い
4級・5級には二次試験がありません。級の認定はリーディングとリスニングの一次試験の合否のみで判定されます。
4級・5級のスピーキングテストは、一次試験の合否に関係なく受験できるテストで、級の合否には影響しません。スピーキングテストにも合格基準スコアが設定されており、4級は324、5級は266です。
技能別の満点と「均等配分」の考え方
英検CSEスコアの大きな特徴は、問題数に関係なく、各技能にスコアが均等に配分されていることです。各級の技能ごとの満点は次のとおりです。
| 級 | 1技能あたりの満点 | 一次試験の満点(参考計算) | 全技能の満点(3級以上は4技能、4級・5級は3技能) |
|---|---|---|---|
| 1級 | 850 | 2550 | 3400 |
| 準1級 | 750 | 2250 | 3000 |
| 2級 | 650 | 1950 | 2600 |
| 準2級プラス | 625 | 1875 | 2500 |
| 準2級 | 600 | 1800 | 2400 |
| 3級 | 550 | 1650 | 2200 |
| 4級 | 500 | 1000(R・L) | 1500(R・L・S) |
| 5級 | 425 | 850(R・L) | 1275(R・L・S) |
※一次試験の満点は、1技能あたりの満点×一次の技能数で計算した値です。全技能の満点は、3級以上がリーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能、4級・5級がリーディング・リスニング・スピーキングの3技能の合計で、公式のCSEイメージ図に掲載されている値です。
問題数が少ない技能ほど1問の重みが大きい
技能ごとに問題数は異なりますが、スコアは均等に配分されます。そのため公式サイトでも、技能ごとに1問あたりのスコアへの影響は異なると説明されています。一方で、同じ技能の中であれば、どの問題で正解してもスコアへの影響は同じです。
設問数の多い少ないに関係なく、ライティングにもリーディングと同じ満点が割り当てられています。ライティングの出来は、一次試験の結果に大きく響くということです。
苦手技能が1つあると合格点に届きにくい
公式サイトには、2015年度までと2016年度以降の準1級を比べた例が載っています。2016年度以降の仕組みでは、リーディングとリスニングが満点(750+750)でもライティングが0点なら合計は1500で、合格基準スコア1792に届かず不合格になる、というものです。
同じ考え方を2級に当てはめて計算してみます(あくまで計算上の例です)。
- 一次試験の合格基準スコアは1520なので、3技能の平均で約507が必要
- もしライティングが350にとどまると、リーディングとリスニングの2技能で1170、1技能平均585(満点650の9割)が必要
このように、1つの技能が大きく落ち込むと、ほかの技能でかなりの高得点を取らなければ取り返せません。公式サイトも「合格するためには、技能のバランスが重要」と説明しています。
素点(正答数)とCSEスコアが1対1にならない理由
「リーディングで何問正解すれば何点」と換算できたら便利ですが、それはできません。理由は公式サイトで次のように説明されています。
スコアは各回の全答案採点後、統計的手法(Item Response Theory※)を用いてスコアを算出しているため、受験者の皆さまがご自身の正答数でスコアを算出することはできません(日本英語検定協会「英検CSEスコアでの合否判定方法について」より)
Item Response Theory(項目応答理論)は、受験者の応答パターンを用いて、形式や難易度が異なるテストの結果を比較するための理論です。この仕組みがあるため、同じ正答数であっても回次によってスコアは異なります。インターネット上で見かける「○問正解で合格」という換算表は、公式の値ではない点に注意が必要です。
正答率の目安として公式が示している数字
公式サイトは正答数の目安を示せないとしたうえで、参考として「2016年度第1回一次試験では、1級・準1級は各技能の正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の受験者の多くが合格している」と紹介しています。特定の回の傾向であり、合格を保証する基準ではありませんが、各技能で偏りなく取るという方針の目安にはなります。
成績表の見方
英検バンドで「合格までの距離」を見る
成績表には、一次試験・二次試験ともに英検バンドが表示されます。英検バンドは、各級の合格基準スコアを起点にスコアを25点刻みで区切ったものです。
- 合格基準スコアを上回る1つ目のバンドが「+1」、その上が「+2」
- 下回った場合は数字の前に「-」が付く
公式の例では、2級一次試験の合計スコアが1575の場合、バンドは「+3」と表示され、比較的余裕を持って合格したことが分かるとされています。不合格だった場合も、「-1」なのか「-5」なのかで、次回までに埋めるべき差の大きさが見えてきます。
CEFRレベルの見方
成績表には、技能別スコアに基づく技能別のCEFRレベル(2022年度以降)と、4技能の合計に基づく4技能総合CEFRが表示されます。4技能総合CEFRは、4技能すべてを受験しないと表示されません(一次試験の成績だけでは表示されません)。
公式サイトの4技能総合スコアとCEFRの対応は次のとおりです。
| CEFR | 4技能総合スコア | 算出できる級 |
|---|---|---|
| C1 | 2600〜 | 1級 |
| B2 | 2300〜 | 準1級・1級 |
| B1 | 1950〜 | 2級・準1級 |
| A2 | 1700〜 | 準2級・準2級プラス・2級 |
| A1 | 1400〜 | 3級・準2級・準2級プラス |
級ごとにCEFRの「上限」と「下限」がある
注意したいのは、受験した級によって算出できるCEFRレベルの範囲が決まっていることです。公式サイトでは、範囲を上回った場合はその級で算出できるCEFRレベルの上限が表示されると説明されています。
たとえば2級の4技能満点は2600ですが、2級で算出できるのはB1までです。公式の図でも、2級の2300〜2600の範囲は「B1扱い」とされています。同様に、準1級はB2まで、1級はC1までが上限です。B2を証明したいなら準1級、C1なら1級を受ける必要があるということになります。
反対に、範囲を下回った場合はCEFRレベルが表示されません。上の表ではA2は1700からですが、級ごとの算出範囲の下限はこれとは別に決められています。公式サイトの例では、2級の場合、4技能総合スコアが準2級の合格基準スコアである1728未満だと、4技能総合CEFRは表示されません。つまり2級で1700〜1727だった場合、表の上ではA2の範囲でも、成績表にはCEFRが表示されないということです。なお、4級・5級はCEFRの算出範囲外のため、CEFRレベルは表示されません。
CSEスコアの使い方
1. 技能別スコアで弱点を特定する
技能別スコアを並べると、どの技能が合格ラインの足を引っ張っているかがはっきりします。2級なら1技能あたりの満点は650なので、各技能が満点の何割に届いているかを確認するだけでも、次に時間をかけるべき技能が見えてきます。
2. 英検バンドで次回の目標を数値にする
「-2」なら合格基準スコアまで数十点、「-6」ならもう少し大きな差がある、というように、バンドは次回までの目標設定に使えます。合格した場合も、上位級の合格基準スコアと比べれば、ステップアップまでの距離を測れます。例えば2級に合格した人が準1級を目指すなら、一次試験の合格基準スコアは1520から1792に上がり、1技能あたりの満点も650から750に変わります。
3. 入試・資格でのスコア活用を確認する
公式サイトによると、英検CSEスコア証明書は就職や入試の際に利用できる正式な証明書で、合格・不合格を問わず2014年度以降の受験分について発行を申し込めます。また、2016年度以降の合格者には、英検CSEスコアを記載した合格証明書が合格時に無料で届けられます。
大学入試では「級の合格」ではなく「CSEスコア」や「CEFRレベル」で基準を設けている場合があります。志望校の基準は必ず最新の募集要項で確認しましょう。入試での英検の活かし方は英検が大学入試で有利になる仕組みでも解説しています。
まとめ
- 英検の合否は正答数ではなく英検CSEスコアで判定され、各級の合格基準スコアは固定されている
- スコアは問題数に関係なく各技能に均等配分されるため、苦手技能が1つあると合格点に届きにくい
- 正答数からスコアを自分で換算することはできず、同じ正答数でも回によってスコアは異なる
- 英検バンドで合格までの距離を、CEFRレベルで国際的な水準を確認できるが、級ごとに算出できるCEFRの上限がある
英検2級をはじめ、どの級でも「どの技能も大きく落とさない」ことが合格への近道です。
英検専科の指導について
英検専科では、成績表の技能別スコアや英検バンドをもとに、どの技能がどれだけ不足しているかを数値で確認し、試験日から逆算した学習計画を立てています。授業は完全1対1なので、苦手技能に時間を集中させることができます。CSEスコアの読み方や次回に向けた計画づくりについて相談したい方は、無料体験授業のお申し込みからお気軽にどうぞ。