はじめに
「長文が読めない」「リスニングが聞き取れない」「英作文が書けない」。英検の悩みは技能ごとにさまざまですが、原因をたどると、多くは同じところに行き着きます。知らない単語があるか、文の構造が取れていないか、あるいはその両方です。
英検専科では、指導の柱として「単語を徹底」「文法を徹底」「なぜそうなるかまで説明する」「わからないをゼロにする」の4つを掲げています(詳しくは指導方針をご覧ください)。この記事では、その考え方をご家庭でも実践できる具体的な手順に落とし込んで紹介します。
なぜ英検は「単語」と「文法」が土台なのか
大問1は語彙と文法の力がそのまま問われる
英検の一次試験のリーディングは、たとえば3級・2級・準1級のいずれも大問1が「短文の語句空所補充」です。日本英語検定協会の公式サイトでは、この大問で測る力を「文脈に合う適切な語句を補う」と説明しています。
| 級 | 大問1の形式 | 問題数 |
|---|---|---|
| 3級 | 短文の語句空所補充 | 15問 |
| 2級 | 短文の語句空所補充 | 17問 |
| 準1級 | 短文の語句空所補充 | 18問 |
(日本英語検定協会の各級「試験内容」ページより。出典は記事末尾)
短い1文の中で、空所に入る語を4つの選択肢から選ぶ形式です。単語の意味を知っているか、文の形から品詞や語形を判断できるか。知識があれば短時間で解け、なければ考えても答えが出にくいのがこの大問の特徴です。
長文もライティングも、土台は同じ
大問2以降の長文問題も、1文ずつ見れば「単語」と「文の構造」の集まりです。知らない語が多い文や、どこが主語でどこが動詞か分からない文が続けば、内容をつかむことはできません。
ライティングでも同じです。自分の意見を英語で書くには、使える単語と、正しく文を組み立てる文法が必要です。単語と文法は、4技能すべてを支える共通の土台だと考えてください。
「わからない」を放置すると何が起きるか
英語学習でいちばん怖いのは、「なんとなく分かった気がする」状態で先に進むことです。
- 答え合わせで正解だったが、なぜその答えなのかは説明できない
- 単語帳を眺めて「見たことはある」と思ったが、英文の中で出てくると意味が浮かばない
- 解説を読んで納得したが、1週間後に同じ問題を間違える
こうした小さな「わからない」は、積み重なると長文やライティングの伸び悩みとして表面化します。だからこそ、曖昧なまま先へ進まない仕組みを最初から勉強法に組み込んでおくことが大切です。
英単語の覚え方
1. 基準は「見て分かる」ではなく「思い出せる」
単語帳を眺めて英語と日本語を見比べるだけでは、「見れば分かる」状態にはなっても、「自分で思い出せる」状態にはなりにくいものです。記憶の研究では、答えを見る前に自分で思い出そうとする練習(想起練習)が定着に役立つという考え方が広く知られています。
やり方はシンプルです。
- 英単語を見て、日本語の意味を声に出すか書く(見る前に言う)
- 答えを確認する
- 言えなかった語には印をつける
2. 単語カードは「3つの山」で回す
紙のカードでもアプリでも構いません。大事なのは、覚えた語と覚えていない語を分けて扱うことです。
【山A】即答できた → 数日あけて、もう一度確認
【山B】迷った・遅かった → 翌日にもう一度
【山C】言えなかった → その日のうちに、もう一度
- 1回のセットは20〜30語程度に区切ると、集中が続きやすくなります。
- 山Cの語は、その日の最後にもう一度だけテストします。
- 翌日は山B・山Cから始めます。山Aは数日あけてから、まとめて確認します。
「全部を毎日同じ回数」ではなく、苦手な語ほど回数を多くするのがポイントです。
3. 例文とセットで覚える
単語は単体で覚えるより、短い例文の中で覚えるほうが使い方まで身につきます。特に大問1は「文脈に合う語」を選ぶ問題なので、どんな語と一緒に使われるかを知っていることが直接の武器になります。
単語: reduce(減らす)
例文: We need to reduce plastic waste.
(私たちはプラスチックごみを減らす必要がある)
一緒に覚える:reduce + waste / costs / stress
例文は自分で作らなくても構いません。単語帳の例文を音読して、意味を言えるようにするだけでも効果があります。
4. 間隔をあけて繰り返す
一度に何十回も繰り返すより、日をあけて何度か思い出すほうが記憶は残りやすいと一般に言われています(間隔反復)。前述の「3つの山」は、この考え方を手作業で実践する方法です。
目安として、新しく覚えた語は翌日・数日後・1週間後にもう一度テストするようにしましょう。
5. 抜けた語は翌週に持ち越さない
英検専科では、毎回の授業のはじめに前回範囲の語彙テストを行い、抜けた語はその場で確認して翌週に持ち越さないようにしています。ご家庭でも、週に1回の「確認テスト日」を決めておくと、抜けた語を早めに見つけて埋め直す機会をつくれます。
- その週に覚えた範囲から、ランダムに出題する
- 間違えた語は日曜日(予備日)にもう一度テストし、その週のうちに埋める
- 正解した語も、翌月にもう一度だけ確認する
準1級レベルの語彙をどう増やすかについては、英検準1級の単語の覚え方でも詳しく解説しています。
文法の理解の仕方
文の骨組み(S・V・O・C)を先に取る
英文を読むとき、最初にやるべきことは「主語(S)」と「動詞(V)」を見つけることです。英語の文はこの2つを中心に組み立てられているので、ここが取れれば残りの部分の役割も見えてきます。
My sister bought a new bike.
S V O
(姉は 新しい自転車を 買った)
The news made everyone happy.
S V O C
(その知らせは みんなを 幸せにした)
- S(主語):「〜は・〜が」にあたる語
- V(動詞):「〜する・〜である」にあたる語
- O(目的語):「〜を・〜に」にあたる語
- C(補語):主語や目的語が「どういう状態か」を説明する語
修飾語はカッコでくくる
文が長くなるのは、骨組みに修飾語(M)がついているからです。修飾語をカッコでくくると、骨組みがはっきり見えます。
The students (in the library) were studying (for the test).
S M V M
→ 骨組み:The students were studying.
(図書館にいる生徒たちは、テストに向けて勉強していた)
The man [who lives next door] teaches English.
S M V O
→ 骨組み:The man teaches English.
(隣に住んでいる男性は英語を教えている)
長文で「意味が取れない」と感じたら、まず修飾語をカッコでくくって、SとVだけを探す。これだけで読める文がぐっと増えます。
「なぜそうなるか」を自分の言葉で説明する
文法問題は、答えが合っていても理由が言えなければ、次に形が変わったときに解けません。例として、次の問題を考えてみましょう。
The book ( ) by my grandfather is very old.
1. wrote 2. written 3. writing 4. writes
答えは 2. written です。理由は次のとおりです。
- 文のSは The book、Vは is。つまり空所から grandfather までは修飾語
- 本は「書く」のではなく「書かれる」もの。受け身の意味になる
- 名詞を後ろから「〜された」と説明するのは過去分詞
- だから written(祖父によって書かれた本)
このように、「構造」→「意味」→「文法ルール」→「答え」の順で説明できれば、その文法は自分のものになっています。問題を解いたら、正解・不正解にかかわらず、1問につき1行でよいので理由を書く習慣をつけましょう。
毎日の回し方
1日のメニュー(30〜60分)
| 時間の目安 | 内容 |
|---|---|
| 10〜15分 | 単語カード(山C→山B→新しい語の順) |
| 15〜25分 | 文法:問題を解き、1問1行で理由を書く |
| 5〜10分 | その日の英文を1〜2文、S・V・Oを書き込んで音読 |
| 5分 | 山Cの語をもう一度テスト |
時間が取れない日は、単語カードと最後の確認テストだけでも続けることを優先してください。毎日触れることが、何より大切です。
1週間の回し方
| 曜日 | 単語 | 文法 |
|---|---|---|
| 月 | 新しい範囲(1セット) | 新しい単元の説明を読む・例題 |
| 火 | 新しい範囲+前日の山B・C | 練習問題(理由を書く) |
| 水 | 新しい範囲+山B・C | 練習問題(理由を書く) |
| 木 | 新しい範囲+山B・C | 間違えた問題を解き直す |
| 金 | 月〜木の山Cを集中して | 過去問の大問1で実戦練習 |
| 土 | 確認テスト日(週の範囲から出題) | 1週間で間違えた問題をまとめて解き直す |
| 日 | 予備日(確認テストで間違えた語を再テスト・できなかった分を補う) | 予備日 |
日曜日をあえて予備日にしておくと、予定がずれても1週間の計画が崩れにくくなります。
週間目標シートで「やること」を具体化する
英検専科では、授業の終わりに週間目標シートで次回までの課題を具体的に決めています。ご家庭でも、次のように書き出してみてください。
今週の目標(例)
・単語:単語帳 p.40〜55(1日1セット)、土曜に確認テスト
・文法:関係代名詞の問題集 p.12〜19、理由を1行で書く
・実戦:過去問の大問1を1回分
・確認テスト:土曜に実施し、間違えた語は日曜に再テストしてゼロにする
「単語をがんばる」ではなく、範囲と量と締め切りを書くのがコツです。終わったら線を引いて消していくと、達成感も得られます。
よくあるつまずきと対処
- 単語帳の最初のページだけ覚えている:1セットを小さくし、毎日「前日の山C」から始める
- 文法の解説を読むと分かるのに、問題になると解けない:理由を自分の言葉で書く練習を増やす
- 長文になると急に読めない:1文ずつ修飾語をカッコでくくり、S・Vを確認してから意味を取る
- 計画が3日で崩れる:1日の量を減らし、日曜日を予備日にする
毎回の授業がどのようなサイクルで進むかは、無料体験から入塾・合格までの流れでも紹介しています。
英検専科の授業について
英検専科は、完全1対1の英検専門の個別指導教室です。授業のはじめの語彙テストで前回の抜けを確認し、文法は文の構造を図解しながら「なぜそうなるか」まで説明します。そして週間目標シートで、次の授業までにやることを一緒に決めます。この記事で紹介した方法を、お子さま一人ひとりのレベルと目標級に合わせて進めていくイメージです。ご家庭での学習の進め方に迷ったときは、まずは無料体験授業のお申し込みから、気軽にご相談ください。