はじめに
英検3級のリスニングは、中学生にとってはじめて本格的に取り組む「英語を聞いて答える試験」になることがあります。「英語が速くて聞き取れない」「2回聞けるはずなのに、答えに迷ってしまう」といった声は、3級を受ける生徒からも聞かれます。
ただ、リスニングは部ごとに形式と放送回数が決まっている試験です。どの部で何回聞けるのか、放送の前に何を見ておけばよいのかを知っておくことは、落ち着いて解くための準備になります。
この記事では、日本英語検定協会(以下、英検協会)の公式サイトと、公開されている問題冊子・リスニング原稿で確認できた情報をもとに、3級リスニングの形式・先読みの手順・部ごとの解き方・つまずきやすいポイント・家での練習法・学習計画を整理します。試験の情報は2026年9月時点のものです。英語の例はすべて英検専科が作成したもので、本番の問題ではありません。3級全体の対策は英検3級の対策ページと英検3級の勉強法もご覧ください。
英検3級リスニングの出題形式は?(2026年9月時点)
結論:3部構成・各10問の全30問で、試験時間は約25分です。第1部は放送1回、第2部・第3部は2回放送されます。
| 部 | 形式(公式の名称) | 問題数 | 放送回数 | 選択肢 |
|---|---|---|---|---|
| 第1部 | 会話の応答文選択(補助イラスト付き) | 10問 | 1回 | 3肢・読み上げ(印刷なし) |
| 第2部 | 会話の内容一致選択 | 10問 | 2回 | 4肢・問題冊子に印刷 |
| 第3部 | 文の内容一致選択(物語文・説明文) | 10問 | 2回 | 4肢・問題冊子に印刷 |
一次試験は、リーディング・ライティング(65分)とリスニング(約25分)です。公式の試験内容では、場面として家庭・学校・地域(店舗・公共施設を含む)・電話・アナウンスなどが挙げられています。
2026年度第1回のリスニング原稿と問題冊子では、次の点も確認できました。
- 第1部は、はじめに例題が1題放送される
- 解答時間は、第1部〜第3部とも1問10秒
- 第2部は「対話と質問」、第3部は「英文と質問」がそれぞれ二度くり返される
- 放送の間はメモをとってもよい。問題冊子へのメモも認められている(ただし、あとで解答用紙に書き写す時間はない)
この記事の「問題冊子」「マーク」の説明は従来型(紙の試験)の場合です。英検S-CBTでは、リスニングはパソコンの画面上でマウスを使って解答します。先読みや聞き方の考え方は、どちらの方式でも使えます。
合格にはリスニングで何問必要?
結論:「何問正解すれば合格」という公式の目安はありません。練習では、30問中18問(6割)以上を安定して取ることを最初の目標にするとよいでしょう。
- 3級の一次試験の合格基準スコアは1103(英検CSEスコア・3技能の合計)です。
- 3級の技能ごとの満点は550で、問題数に関係なく各技能に均等に配分されています。
- スコアは統計的な手法で算出されるため、正答数から自分でスコアを計算することはできません。
英検協会は、2016年度第1回一次試験について「2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格」と説明しています。上の18問は、これを参考にした英検専科の練習の目安で、合格を保証する数字ではありません。しくみは英検CSEスコアの仕組みと合格点で解説しています。
放送の前に何を見る?先読みの手順
結論:第1部はイラスト、第2部・第3部は選択肢を先に見て、「何を聞けばよいか」を決めてから放送を聞きます。
| 部 | 放送前に見るもの | 確かめること |
|---|---|---|
| 第1部 | 各問題のイラスト | 場所(店・学校・家など)、登場人物、何をしている場面か |
| 第2部 | 4つの選択肢 | 主語(He / She)、動詞の形、数字・曜日・場所が並んでいないか |
| 第3部 | 4つの選択肢 | 人物の話か、物や行事の説明か、場所を問う問題か |
先読みの4つの手順
- 放送で説明が流れている間に、第1部の最初の数問のイラストに目を通す
- 第2部・第3部では、4つの選択肢のはじめの2〜3語だけを拾う(全文を訳さない)
- 解答をマークしたら、すぐに次の問題の選択肢に目を移す
- 迷った問題は、いったん答えを選んで次の先読みに移る
選択肢が「To buy 〜.」「To see 〜.」のように To + 動詞 で並んでいれば、「何のために」を問う質問が予想できます。「On Monday.」「At three.」のように曜日や時刻が並んでいれば、「いつ」を問う質問です。
第1部の解き方|最後の発話に対する「応答」を選ぶ
結論:第1部は、会話の最後の発話が「何を聞いているか(疑問詞)」をつかみ、それに合う応答を選びます。
第1部では、イラストを参考にしながら短い対話を聞き、最後の発話への応答を、読み上げられる3つの選択肢から選びます。選択肢は問題冊子に印刷されていないため、1つ聞くごとに「○か×か」を頭の中で判断していくのがコツです。
例(英検専科作成・イラストは想定):
(イラスト:駅の切符売り場で、男の子が女性に話しかけている)
Boy: Excuse me. Does this train go to City Park?
Woman: Yes, it does.
Boy: How long does it take?
1 About twenty minutes.
2 At the next station.
3 By bus.
最後の発話は How long(どのくらいの時間) です。時間の長さを答えている1が正解です。2は「場所」、3は「手段」を答えています。
| 最後の発話の形 | 合う応答の例 |
|---|---|
| How long 〜? / How many 〜? | 時間の長さ・数を答える |
| Where 〜? / When 〜? | 場所・時を答える |
| Can you 〜? / Could you 〜? | Sure. / Sorry, I can't. など引き受けるか断る |
| Why don't we 〜? / How about 〜? | That's a good idea. など賛成・反対 |
| 疑問文ではない(感想・報告) | 話の流れに合うあいづちや返事 |
最後の発話が疑問文でないこともあります。その場合は、会話の場面と流れから、自然に続く返事を選びます。
第2部の解き方|2回の放送を役割分担する
結論:1回目で「誰が・何について話しているか」をつかみ、2回目で質問に答える部分だけを確かめます。
第2部は対話を聞き、その内容についての質問に答えます。対話と質問は二度くり返されるので、1回目と2回目で聞く目的を変えて聞きます。
| 放送 | 聞くこと |
|---|---|
| 1回目 | 話している2人の関係、話題、最後に何が決まったか。質問を聞いたら、答えの候補を1つにしぼる |
| 2回目 | 質問に関係する部分だけに集中し、候補が正しいかを確かめる |
例(英検専科作成):
W: Are you going to the library after school, Tom?
M: No, Mom. I have soccer practice today. I'll go tomorrow.
W: OK. Don't forget to return the books.
M: I won't.
Question: What will Tom do tomorrow?
1 Play soccer.
2 Go to the library.
3 Buy some books.
4 Help his mother.
today と tomorrow の予定が出てくるので、先読みで「動詞の原形が並んでいる=何をするか」と予想し、いつの予定かを分けて聞くことがポイントです。正解は2です。1は「今日」の予定なので合いません。
第3部の解き方|最初の1文で「何の話か」をつかむ
結論:最初の1文で「誰の話か」「何の説明か」「アナウンスか」をつかみ、話の流れを追いかけます。
第3部は、短い英文を聞いて質問に答えます。公式の試験内容では、英文の種類は物語文・説明文とされており、2026年度第1回ではアナウンスの英文も出題されていました。
| 英文のタイプ | 最初に聞こえる内容の例 | 聞くポイント |
|---|---|---|
| 人物の話 | Emi likes cooking. など人物の紹介 | 誰が→何をしようとして→どうなったか |
| アナウンス | Attention, please. / Welcome to 〜. | どこでの放送か、時刻・場所・お願いの内容 |
| 説明 | 物や行事、動物の紹介 | 特徴や理由、「〜するそうです」の内容 |
例(英検専科作成):
Emi likes cooking. Last Sunday, she wanted to make a cake for her father's
birthday, but she didn't have any eggs. So she went to the store with her
brother. After they came home, they made the cake together.
Question: Why did Emi go to the store?
1 To buy a cake.
2 To buy some eggs.
3 To meet her father.
4 To see her brother.
but のあとに「卵がなかった」という問題が出て、So のあとに「店に行った」という行動が続きます。理由を問われたら、but や so、because の前後を思い出しましょう。正解は2です。1の cake は本文に出てくる単語ですが、ケーキは買いに行ったのではなく作っています。
つまずきやすいポイントと対策
結論:聞き取れなかった原因を、スクリプトを読んで確かめ、原因に合った練習をします。
| つまずき | 原因として考えられること | 対策 |
|---|---|---|
| 数字・曜日・時刻を取り違える | 数字の音に慣れていない/予定の変更を聞き落とす | 数字の部分だけメモする。thirteen と thirty など似た音を練習する |
| 本文と同じ単語の選択肢を選んでしまう | 内容ではなく単語で選んでいる | 正解の選択肢と本文の対応を、スクリプトで線で結んで確認する |
| 第1部の選択肢を覚えきれない | 3つを聞き終えてから考えている | 1つ聞くごとに○×をつける |
| 2回目を聞き流してしまう | 2回あるので1回目に集中しきれない | 1回目で答えの候補を決め、2回目は確認に使う |
| 読めば分かるのに聞き取れない | 単語を音で覚えていない | 単語帳の音声を使い、聞いて意味が分かるまで練習する |
| マークがずれる | 先読みと解答の切り替えで混乱する | 第1部が終わったところで一度確認する |
スクリプトを読んでも意味が分からない場合は、単語や文法の不足が原因として考えられます。その場合は、音声を聞く量を増やす前に、単語と文法の復習から始めます(参考:英検の土台は単語と文法)。
家での練習法|過去問の音声とスクリプトを使い切る
結論:英検協会が公開している過去問の音声とリスニング原稿(スクリプト)を使い、「解く→確かめる→声に出す」を1セットにします。
英検協会の3級のページでは、過去1年(3回分)の問題冊子・リスニング原稿・リスニング音源・解答が公開されています(公開内容は変わることがあるため、最新の状況は公式サイトで確認してください)。
1回分の音声を使い切る5つのステップ
- 本番どおりに解く:音声を止めず、第2部・第3部も2回の放送だけで答える
- 答え合わせ:間違えた問題と、迷って正解した問題に印をつける
- スクリプトで確かめる:聞き取れなかった部分に線を引き、知らない単語を調べる
- 音読:スクリプトを見ながら、音声に合わせて声に出して読む(オーバーラッピング)
- シャドーイング:スクリプトを見ずに、音声のすぐあとを追いかけて言う
シャドーイングが難しいと感じたら、1文ずつ音声を止めてまねするところから始めてかまいません。3級の対話は短いので、1問分を丸ごと言えるようになるまでくり返すことで、音と単語を結びつける練習になります。
1日の練習メニュー(英検専科の目安)
| 1日の時間 | メニュー |
|---|---|
| 10分 | 過去問の第1部を5問解く→スクリプトで確認→音読 |
| 20分 | 第2部または第3部を5問解く→スクリプト確認→シャドーイング |
| 休日40分 | リスニング30問を通しで解き、間違えた問題を5ステップで復習 |
英検専科の学習アプリ English LABO にはリスニング演習の機能もあり、授業のない日の練習にも使えます。
学習計画の例(試験2か月前から)
結論:前半は単語の音と形式に慣れ、後半は過去問を本番どおりに解いて復習する流れで進めます。
| 時期 | 中心にやること |
|---|---|
| 8〜6週前 | 3級の単語帳を音声つきで進める。過去問1回分で形式を知る |
| 5〜3週前 | 1日10〜20分の「5ステップ」を続ける。つまずきの原因を表で確認する |
| 2〜1週前 | 残りの過去問を本番どおり通しで解き、先読みのリズムを固める |
| 直前の数日 | 新しい問題は増やさず、解いた音声の聞き直しとシャドーイング |
期間や学年に合わせて量は調整してください。過去問の進め方は英検の過去問の使い方、教材の絞り方は英検の教材は絞って使い切る、直前期は英検直前1週間の最終チェックリストで紹介しています。
準2級に進むと何が変わる?
結論:準2級では、3部とも放送が1回になります。3級のうちから「1回目で答えを決める」練習をしておくと、準2級への準備になります。
| 項目 | 3級 | 準2級 |
|---|---|---|
| 構成 | 3部・各10問 | 3部・各10問 |
| 放送回数 | 第1部は1回、第2部・第3部は2回 | すべて1回 |
| 第1部のイラスト | 補助イラスト付き | 公式の試験内容に記載なし |
準2級の対策は英検準2級リスニング対策で解説しています。さらに上の級の形式は英検準1級リスニング対策や英検2級リスニング対策で紹介しています。
まとめ
- 3級リスニングは3部・各10問の全30問、約25分(2026年9月時点)
- 放送回数は第1部が1回、第2部・第3部が2回。解答時間は1問10秒
- 第1部はイラスト、第2部・第3部は選択肢を先読みする
- 第2部は2回の放送を「全体→確認」に分け、第3部は最初の1文で話の種類をつかむ
- 過去問の音声とスクリプトで、解く→確かめる→音読→シャドーイングを1セットにする
よくある質問
Q. 2回聞けるなら、1回目は聞き流してもいいですか?
1回目から答えの候補を決めるつもりで聞くことをおすすめします。そうすると、2回目を確認に使えます。準2級からは放送が1回になるため、その準備にもなります。
Q. メモはとったほうがいいですか?
放送の間のメモは認められています。ただ、書くことに集中すると聞き逃しが出ることがあるため、英検専科では数字・曜日・人の名前など、覚えにくい情報だけを書き留める方法をすすめています。
Q. 小学生でも3級のリスニングは解けますか?
学年だけでは判断できません。まずは過去問1回分を解いて、今の正答数と、聞き取れない原因を確かめるところから始めてみてください。受ける級の考え方は英検3級の勉強法も参考になります。
英検専科の指導について
英検専科は、英検に特化した完全1対1の個別指導塾で、授業はオンラインで全国から受講できます。英検対策の講師陣は、英検1級をはじめ、英検準1級・TOEIC850点以上などの高難度の英語資格を持つ講師で構成しています。リスニングの授業では、間違えた問題のスクリプトを一緒に確認し、聞き取れない原因が単語なのか、音なのか、先読みの手順なのかを見きわめて、練習の内容を組み立てます。
授業外の質問・添削は、学習アプリ English LABO の AI 機能でいつでも受けられ、LINE・メールでも受け付けています(回数無制限・無料)。これまでの実績は、受講開始から3ヶ月以内に次の級を受験した受講生の合格率 95%超(受講開始から3ヶ月以内に受験した回で最終合格した人の割合。3級以上は同じ回の二次試験まで合格、4級・5級は一次試験の合格。開校以来の全受講生が対象・当教室調べ)です。合格を保証するものではありません。代表は、生徒2,000名超・講師200名以上が在籍する大手個別指導塾で、年間MVP・月間MVP・成績アップMVPを複数回連続で受賞しています。3級のコース内容は英検3級の対策ページをご覧ください。